最高裁判所第三小法廷 昭和23(れ)1272 判決
主 文
本件上告を棄却する。
理 由
弁護人飯村義美の上告趣意は末尾添付の書面記載のとおりである刑法第二三八条
の準強盗罪については、同法第二四三条においてその未遂罪を罰しているのであつ
て、同条の未遂罪は、窃盗行為が未遂の場合に成立するものであること所論のとお
りである。しかしながら、刑法第二四〇条前段の強盗傷人罪は、強盗犯人が強盗の
機会において人を傷害した場合を犯情の重いものとして通常の傷害罪と区別して処
断することとした結果的加重犯であるから、いやしくも傷害の結果が発生した以上、
強盗行為が既遂であると未遂であるとを問わず、同条の既遂罪が成立するのである。
されば所論のように窃盗行為が未遂であるため、刑法第二三八条の準強盗罪の未遂
罪に当る場合であつても、強盗罪に準ぜられることには変りがないのであるから、
もし人を傷害する結果が発生したときには、同法第二四〇条前段の強盗傷人罪の既
遂罪として所断されるべきものであることは当然である。それ故、原審が本件につ
き刑法第二四〇条前段を適用処断したのは正当であつて、原判決には所論のような
擬律錯誤の違法はなく、論旨は理由がない。
よつて刑事訴訟法施行法第二条旧刑事訴訟法第四四六条に従い主文のとおり判決
する。
以上は裁判官全員の一致した意見である。
検察官 安平政吉関与
昭和二四年二月二二日
最高裁判所第三小法廷
裁判長裁判官 長 谷 川 太 一 郎
裁判官 井 上 登
- 1 -
裁判官 島 保
裁判官 河 村 又 介
- 2 -